半導体増感型熱利用発電(通称STC)は、室温以上の熱を電力へ変換する技術である。設置温度で化学平衡に到達すると放電が終了するが、スイッチを切ると熱エネルギーを吸収して再放電できる。そのため、屋根の下・壁の中・地下などに埋めたまま、スイッチをオンオフするだけで発電が持続する。本課題では、このSTCをエネルギー問題のソリューションとすべく、MTA契約によるSTCレンタル(後述)を通じ商品化の確度を上げる。
本スタートアップは世界に蔓延する閉塞的なエネルギー問題の打破をミッションとし、最終的に以下の2事業を展開する:
[I]欧州電池規制ならびに資源不足によるリチウムイオン電池コスト急騰を睨んだリチウムイオン電池代替(リチウムイオン電池2025年世界市場約12兆円)
[II]昇温時の太陽電池発電量低下を補う相補的熱発電システム(太陽光発電2030年世界市場約13兆円)
昨年度、我々は研究室で作製したSTCセル(80℃発電用、10日間耐久)を、本学のMTA契約を通じて希望者に貸し出し、ユーザデータを取得した(右図)。本GAP fundでは、セルレンタルを通じ得られたいくつかの問題点をクリアした第2世代レンタルセルを開発する。また、本第2世代レンタルセルを貸し出し、ユーザーの声を集め、再度開発を行うリーンスタートアップサイクルを展開する。
合わせて、STCのコンサル・解析などを行う事業の立ち上げ準備を実施するとともに、起業のためのチーム作りを行う。