起業家支援プログラム(海外市場開拓実践コース)

長野 拓也
研究代表者
東京科学大学

長野 拓也

Nagano Takuya
採択テーマ

早期舌癌に対する新規固定具を用いた定位放射線治療の開発

課題名
早期舌癌に対する新規固定具を用いた定位放射線治療の開発
プロジェクトの概要
プロジェクトの概要の画像

定位放射線治療は早期肺癌に適応され、高い局所制御効果と低い有害事象発現割合が明らかになってきた。この治療法は、5cm以下の小さな腫瘍に対して、あらゆる方向から放射線を照射し、頭頸部では2mm以下の誤差精度で腫瘍のみに高線量を集中させる。舌癌も"動く腫瘍"であるが、舌の固定と適切な照射範囲の同定ができれば、定位放射線治療で治療可能となる可能性がある。

そこで、舌吸引固定型スペーサーと舌表面マーカーを用いることで、舌癌に定位放射線治療が可能になるのではないかという発想に至った。この治療法の有効性・安全性が確認されれば、治療後のQOL低下の問題が解決され、全国の総合病院で低侵襲な治療を一般化できる。特定臨床研究により、0.6mmの精度で固定できることがわかった。今後は、アメリカでの臨床試験を経てFDAの承認を得て、上市を目指す。

ビジネスモデル(申請時)

当社のビジネスモデルは、アメリカの舌がん患者を対象に、オーダーメードのスペーサーとマーカーを提供し、定位放射線治療をサポートすることである。患者から提供された3Dデータ、MRI、CT画像を基に、最適なスペーサーをデザインし、アメリカ法人の3Dプリンターでプリントアウトする。これらのスペーサーとマーカーを患者に郵送し、予想される照射範囲や副作用の情報も提供する。これらのサービスの対価として、患者から5000ドルを請求する。

活動計画(申請時)

1. Bio internationalにおいて、頭頸部がん放射線治療で有名な病院とのネットワークを構築し、CEO人材の探索を行う。有望な候補者がいる場合は、直接打診し、当社の事業計画について説明を行う。

2. 5-6月に予定されている舌癌に対する特定臨床研究(POC②)の準備を進める。必要な機器や材料の調達、研究プロトコルの作成、倫理委員会への申請など、円滑な研究実施のための groundworkを行う。

3. 特定臨床研究の結果を踏まえ、アメリカまたは日本において、舌癌患者に対する最初の治療を実施する。この結果を基に、VCからの資金調達を目指す。そのために、事業計画書の作成、プレゼンテーション資料の準備、投資家とのネットワーキングなどを行う。

これらの活動を通じて、舌癌に対する革新的な定位放射線治療の実用化に向けて着実に前進し、患者のQOL向上と低侵襲治療の普及に貢献することを目指す。

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