株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ
透析を必要とする末期腎不全患者の透析回数を週1回に減らすなどQOLを劇的に改善し、さらに血圧の安定や膀胱機能維持等の治療上のベネフィットを有し、かつ医療費の低減に貢献が期待される、ハイブリッド腎代替療法のための医療機器、インプラント型人工腎臓Azinzoの研究開発を行う。本研究開発では、ヤギを用いた動物実験によるAzinzoの安全性・有効性評価、ヒトへの適用可能性を検証するための特定臨床研究の準備、米国市場を念頭においたQMS構築、薬事承認準備を行う。Azinzoの設計から製造、薬事申請まで完結させる製造販売業の業態を取るAzinzo社の創業を目指す。過去15年以上の研究開発を通じ、類似医療機器が存在しないAzinzoを設計製造する特許および製造ノウハウを強みとしており、2030年代には20兆円に達する巨大なグローバル市場に挑戦する。
Azinzo社は、特許と独自製造ノウハウを基盤としたインプラント型人工腎臓の設計・製造・販売を行う。高機能医療素材は外部調達するが、Azinzoを内製化することで差別化を図る。臨床データを蓄積しKOLを中心に普及を進め、段階的に販売網を拡大。米国市場を主軸に規制承認を取得し、巨大な透析・腎代替療法市場へ参入し、医療費削減とQOL向上に貢献する。
本事業では、インプラント型人工腎臓Azinzoの実用化に向け、事業開発と研究開発を並行して進める。事業面では、起業後にLegal Manufacturerとして速やかにQMSを運用できる体制を整備し、FDAへのPre-submissionを通じ非臨床試験内容を決定する。研究開発では、ヤギを用いた長期埋植実験によって段階的に1週間、1か月、3か月、6か月と性能評価を実施し、有効性および安全性評価を行う。各年度で学会参加を通じたKOL探索や投資機関との議論も進め、非臨床・臨床研究・治験計画を具体化する。これらを通じ、強固なQMS体制、人材確保、事業計画の精緻化を実現し、起業後速やかに事業を加速できる基盤を構築することを目指す。