エントリーコースは、起業を目指すGTIEに参画する大学に所属する研究者等を支援する初めのステップとなるGAPファンドです。 ご変更依頼: エントリーコースは、起業を目指すGTIEに参画する大学に所属する研究者等に向けてGTIEが提供するGAPファンドのうち、初めのステップとなるコースです。
公募内容はこちら本研究開発は、慢性炎症性疾患の新たな治療アプローチとして、複数のmRNA発現を同時に調節可能な革新的な人工核酸の開発を目指すものである。従来の治療法では、単一の因子(サイトカインやマトリックス分解酵素等)のみを強力に阻害するため、長期的な治療過程で不応例や二次無効例が発生するという課題があった。これに対し、本技術では新規設計の人工核酸を用いることで、疾患関連の複数遺伝子を同時にかつ適度に制御することを可能とする。これにより、生体のバランスを保ちながら炎症を制御する、より生理的な治療法の実現を目指す。本技術は、既存治療で効果が得られない患者への新規治療選択肢として期待される。
研究計画では、東京科学大学の金澤学を中心に、カスタムディスク法を用いた革新的なデジタルデンチャー製作サービスの開発を目指すものである。本法は、患者ごとにカスタマイズされたディスクをCADソフトと3Dプリンタを用いて製作し、ミリングマシンで切削加工することにより高精度の義歯を製作する技術である。従来の義歯製作法と比較し、製作時間の短縮や適合精度の向上が期待される。特に、義歯床と人工歯の接着力が高く、作業効率およびコストパフォーマンスに優れる点が特徴である。また、この技術は歯科技工業界の効率化にも寄与すると考えられる。本計画では、2025年9月までに技術検証と顧客ヒアリングを完了させ、最終的にスタートアップの設立を目指す。
哺乳類の乳児は抱き歩きや揺動により泣き止み、睡眠に誘導されます(輸送反応)。本課題では、輸送反応を利用した寝かしつけ、乳児状態の自動定量を行うウェアラブルセンサ連携プログラムSciBabyの社会実装を目指します。BtoC版SciBaby Homeでは、音楽再生、寝かしつけランキング機能、動画やSNSとの連携などのエンターテイメント要素を開発し、育児の新しい楽しさを創出します。またBtoB版SciBaby Bizでは、センサ出力をもとに育児関連機器を自動操作することで、体調等の事情で抱き歩きができない保護者、保育士、小児医療関係者なども利用できるスマート育児家電を実現します。
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、2020年3月に世界に先駆け、我が国で「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」に対して承認を受けた世界最先端の低侵襲がん選択的治療法である。承認された薬剤はBPA1剤のみであり、BPA非感受性がんに対する新しいホウ素薬剤の開発が急務である。本研究では、新規中性子捕捉療法薬剤PBC-IPを開発し、BPA非感受性がんに対するBNCT適応疾患拡大の実現により、未だ有効な治療法のない難治性疾患である悪性脳腫瘍の治療に適応する。
我々は特定の周波数(230 kHz)の交流磁場そのものが、様々な種類のがん細胞(悪性神経膠腫、膵がん、乳がん)に対して抗腫瘍作用を有することを見出した。さらに交流磁場はがん培養細胞のミトコンドリアに作用することで活性酸素の産生を促進し、増殖シグナルを抑制することで抗腫瘍効果を示すというメカニズムを突き止めた。正常細胞には影響を認めなかった。我々はこの交流磁場を予後不良の悪性神経膠腫の治療に応用し、産学連携・医工連携を通じて、画期的な脳腫瘍治療医療装置の実用化を進めている。現在、ヒト用交流磁場治療装置の試作機が完成している。また、動物用の交流磁場治療装置も完成しており、動物病院の協力のもと、がんに罹患したペットの患畜に対しての治療が進んでおり、一部には良好な結果を得られている。本プロジェクトの支援を得て、早期の起業を目指す。
うつ病は社会的・経済的負担が大きい疾患とされており、うつ病の治療の精緻化は重要な問題とされている。このようなうつ病における現況を鑑み、本研究開発課題「うつ病の治療を精緻にするweb システムの開発」では、うつ病の「治療法ごとの治療効果予測・寛解予測・認知機能予測モデル」と「気分障害に特化したChat Bot」の両者を搭載したうつ病の治療選択援助のためのwebシステムの事業化について検討を行う。本web システムの使用によって、「各々の患者さんにとって、どの治療法が最適か?」という治療方針の決定に患者さんが主体的に関わったり、良好な医師患者関係を維持したり、患者さんが疾病に対する理解を深めたり、精神科医と協働して治療を行うShared Decision Making(SDM)を促進する等の効果を通じて、うつ病治療の精緻化が進展することが期待される。
テラヘルツ波は電波の透過性と光波の直進性をもつことに合わせて、フォトンエネルギーが室温程度の非常に弱いという特徴がある。エネルギーが弱いために金属表面のごくわずかな腐食や汚れが検出できると期待されている。
日本の橋梁は約73万橋あり建設後50年を超える橋梁が20年後には約80%に急増するなど高齢化が進んでいる。長寿命化対策には鋼材の腐食を防ぐことが重要であるが、現状は目視検査が主流であり塗膜の上から鋼材の劣化状態を把握する非破壊検査手法が望まれている。さらに予算不足、技術者不足を補う適切な非破壊検査技術として、テラヘルツ波を活用した塗膜下の鋼材腐食センシング技術として確立し、事業性を確認する。
水産物の鮮度と安全性を確保するために米国西海岸の大手食品小売業者は、中毒物質ヒスタミンの濃度測定を加工業者に義務づけている。この傾向は先進国に拡がっていくと思われる。しかし、従来のイムノアッセイなどの分析手法は、長時間の煩雑な操作が要求され、水産物加工作業と並行して行うのが困難で有る。代表者は目的物質の分子構造を電極に記憶することで、目的物質の濃度に依存した電流を発生させる分子インプリントカーボンペースト電極を発明した。本事業では、これを応用し、「魚肉と接触すれば40秒後以内にヒスタミン濃度が得られる」使い捨てセンサを開発し、米国西海岸を中心に当該センサの販売網を確保する。
本研究開発では、超音波を用いた無針薬剤投与技術を開発し、高分子医薬品の低侵襲・安全な投与を目指す。この技術により、患者や動物への注射の負担を軽減でき、これを元にデバイス製造企業を顧客候補とし、製薬会社や患者とやりとりをする医療機器ベンチャー型のビジネスモデルを提案する。現在では、高分子医薬品は注射による投与が主流で患者負担が大きいが、本研究においてkHz帯とMHz帯の超音波を照射する技術により、効率的かつ深部への薬剤投与に期待できる。本技術は利便性と安全性を兼ね備え、現行のマイクロニードルなどを超える独自の価値を提供することができる。
肺癌の診断では、癌の型を特定するために、癌の一部 (組織や細胞) を検体として採取する生検が行われる。生検には主に内視鏡が用いられ、一般的に検体の採取量の多さから穿刺針等が使用される。しかし、従来手技は検査入院や気管支への損傷リスク (出血リスク) 等を要するため、肺癌患者および呼吸器内科医にとって負担が大きいという課題がある。上記課題に対し、我々は肺炎等の診断に多用されてきた気管支肺胞洗浄 (BAL) 法に着目する。この手技は気管支に注入した生理食塩水を回収する際の流動を利用した、低侵襲・簡便な手技である。しかし、従来のBAL法は遺伝子変異の検出にばらつきがあり、安定的かつ十分量の癌細胞の採取が課題である。この課題を克服すべく、我々は技術シーズである「気泡の流動」を活用した新しいBAL法を提案する。これにより、安定的かつ効率的な肺癌細胞の剥離・採取が可能となり、従来手技に比して低侵襲かつ簡便な肺癌診断が実現できる。さらに、肺癌の好発部位である末梢からの検体採取も可能となる。本プロジェクトでは、上記技術シーズを臨床応用すべく、動物実験による技術検証および試作機の製作等を実施する。